精神医療では長期入院が問題となっています。長期入院の方の退院支援のため、多職種連携チーム「チームフロンティア」を立ち上げました。チーム立ち上げの背景や活動について全4回のコラムでお届けします。

 

コラム 共に暮らせる地域生活のために「第１回　精神医療『入院治療から地域生活へ』」

2004年に厚生労働省は「精神保健医療福祉の改革ビジョン」として「入院医療から地域生活中心へ」という方策を示しました。そして日本の精神医療の変化をもたらすため、次のような目標を掲げました。

・「精神疾患は誰もがかかりうる病気である」ということへの認知度を上げ、一人ひとりが精神疾患を正しく理解し、自分自身の問題と考え、行動する社会を目指した意識の改革

・受入条件が整えば退院可能な者は約７万人とされており、医療と地域生活支援体制の協働の下、地域生活への移行を促すこと

これを境に「地域移行（※）」の流れは大きくなりましたが、「精神保健医療福祉の改革ビジョン」が打ち出されてから20年以上近くたった今もなお、日本の精神医療における入院の長期化は続いています。

※地域移行…精神疾患を抱えた方も、一人ひとりが自ら選んだ住まいで安心して、自分らしい暮らしを実現すること

（つづく）

◆執筆者◆
斎藤徳子（さいとう　のりこ）
精神保健福祉士

2024.5.8